のどが痛い
のどの痛みの原因はさまざまですが、ウイルスや細菌による咽頭炎や扁桃炎が最も一般的な原因です。風邪やインフルエンザ、伝染性単核球症、溶連菌による咽頭炎などが含まれます。また、アレルギー反応により、のどの粘膜が炎症を起こし、痛みを引き起こすことがあります。睡眠時の口呼吸や、のどの酷使(カラオケなど)、魚の骨など異物の誤飲によって、喉の粘膜が乾燥したり直接傷んだりして痛むことがあります。胃食道逆流症でも、胃酸が喉の粘膜を焼いて炎症を引き起こし痛むことがあります。長期間の喫煙やアルコールの摂取が原因のことが多いですが、のどの悪性腫瘍(がん)でも痛みが生じることがあります。
考えられる疾患
のどに違和感がある
多くの患者様が、のどの違和感を訴えられて受診されます。上述した、のどの痛みの原因がのどの違和感を引き起こすことも多くあります。そのほかには、副鼻腔炎で鼻水がのどに垂れて違和感を起こしたり、甲状腺など、くびにできものがあって機械的にのどが圧迫されて違和感を起こしたりすることがあります。また、年齢とともに飲み込みが弱くなることで、違和感を覚える方もおられます。さまざまな可能性があるため、患者様の症状をよく聞いて、診察、治療をしていく必要があります。
考えられる疾患
息がしにくい
息がしにくいと感じる(呼吸困難感)場合、耳鼻咽喉科領域では、口・鼻から肺までの間に狭くなっているところがあるかどうかが、まず問題になります。鼻炎で鼻がつまっている場合や、炎症で咽頭や喉頭が腫れている場合、咽頭喉頭に大きな腫瘍がある場合には、そこで気道が狭くなるため息のしにくさを感じるとともに、ヒューヒューやゼーゼーといった音(喘鳴)が起こります。特に、喉頭や下咽頭で強い炎症が起こって粘膜が腫れた場合は、窒息のおそれもあります(その場合は、ものが飲み込めないほどの痛みや、大きな喘鳴を伴うことがほとんどです)。もし、そのようなことがあった際は早めに受診されてください。耳鼻咽喉科領域で異常がなければ、喘息、肺気腫、肺炎、肺塞栓、心不全、神経筋疾患など内科的な精査が必要になることがあります。
考えられる疾患
声がかれる
声がかれる原因は、声帯が腫れたり、動きが悪くなったり、できものができたりすることでうまく声帯が閉じなくなると、声がかれます。
カラオケなどで、長時間、音声を酷使すると、声帯に過度の負荷がかかり、声がかれることがあります。保育園の先生など、仕事でいつも声を使うかたは声帯にポリープができて声がれが続くことがあります。子供の場合(活発な男の子が多いです)も同様です。
ウイルスや細菌感染、また、アレルギー反応によって喉頭炎が起こっても、声帯が腫れて、声がかれます。
声帯に悪性腫瘍が発生すると、声がかれます。この場合は良くなることはなく、徐々に声がれがひどくなっていきます。
声帯を動かす神経(反回神経)が損傷すると声帯が動かなくなるため、声がかれます。何も原因がなく神経が痛む場合もありますが、ウイルス感染により、神経が機能しなくなることもあります。また、悪性腫瘍(がん)に神経が巻き込まれて神経が損傷する場合もあります。
考えられる疾患
- 声帯炎
- 声帯ポリープ
- 喉頭帯状疱疹
- 喉頭がん
- 反回神経麻痺
せきや痰がでる
せきや痰は、咽喉頭や呼吸器系の刺激に対する身体の反応で、感染やアレルゲンによる炎症反応、異物の誤飲、などによって引き起こされます。急性のせき、痰は主に感染やアレルギー性、異物による機械的な刺激が原因になることが多いですが、慢性(8週間以上)のせき、痰は心疾患、肺疾患など、内科的な疾患の可能性もあります。よくある耳鼻咽喉科領域のせき、痰の原因は副鼻腔炎とそれに伴う後鼻漏、アレルギー性鼻炎や感染性鼻炎、咽喉頭炎、声帯の炎症やポリープ、アトピー咳などがありますが、実際は、詳しい症状や経過、診察を通して判断します。
考えられる疾患
痰に血が混じる
痰に血が混じることを血痰といいます。血痰をみたときに、その血液がどこから出血したかをかんがえる必要があります。耳鼻咽喉科領域では、鼻出血が鼻の奥から咽頭に流れ込んで痰と一緒に出てくることや、咽喉頭に腫瘍や粘膜病変があり、そこから出血して血痰として出てくることがあります。当科領域以外の出血部位としては、肺や気管支からの出血や、食道、胃などからの出血が同様にのどに上がってきて、痰と一緒に出てくることがあります。一、二回の血痰であれば多くの場合、一過性のことが多いですが、続く場合は受診されてください。
考えられる疾患
- 鼻出血
- 鼻腔腫瘍
- 咽喉頭腫瘍
- 肺疾患
- 上部消化管疾患
飲み込めない
飲み込むことを嚥下といい、これがうまくいかないことを嚥下障害といいます。嚥下の仕組みは非常に複雑ですが、飲食物がのどに入った刺激によりスイッチが入り、その後は自動的に嚥下運動が起こって飲食物が食道に落ちて行くようにできています(嚥下反射)。これらのどこかに異常があると、嚥下障害がおこります。もっとも多い原因は加齢による感覚や筋力の低下ですが、脳卒中による麻痺や、パーキンソン病、皮膚筋炎などの神経疾患や膠原病などが原因となることもあります。
非常に強い咽頭炎や、喉頭炎がある場合は、痛みのため飲み込めないことがあります。また、のどや食道に大きな腫瘍があって閉塞している場合は、それが原因で飲み込めないことがあります(通過障害)。
飲み込みにくさがある場合は、内視鏡などで検査ができますので、受診されてください。
考えられる疾患