はなの病気
はなの病気
アレルギー性鼻炎の原因(抗原=アレルゲン)として最も多いのは花粉で、その中でもスギが最も多く、福岡では2月くらいから4月くらいまで症状がでます。その他、ヒノキ、ハンノキなどの木、イネやブタクサ、ヨモギなどの草を含めて色々な花粉で花粉症が起こります。木は春から夏、草は夏から秋にかけて花粉が飛ぶことが多く、一年を通じて何らかの花粉が飛散しています。アレルギー体質の人は複数の花粉に反応を示す傾向があるので、一年中花粉症の症状に悩まされる人も少なくありません。花粉の他に、ハウスダスト(家の中のホコリ)やダニ、ペットの毛やカビなどもアレルゲンになります。花粉によるアレルギー性鼻炎は特定の季節に症状が出るので季節性アレルギー性鼻炎、ハウスダストなど一年中症状がでるアレルギー性鼻炎を通年性アレルギー性鼻炎といいます。
アレルギー性鼻炎の主な症状は、くしゃみ・鼻水、鼻づまりがあります。くしゃみ・鼻水が強い場合はくしゃみ・鼻漏型、鼻づまりが強い場合は鼻閉型と呼びます。両方とも症状が強い場合は充全型と呼びます。
他に、目にかゆみ、充血、異物感などが現れたり(アレルギー性結膜炎)、ハンノキやイネ花粉症の人がりんご、もも、キウイなどの果物を食べると口の中が腫れたり(口腔アレルギー症候群)することがあります。
アレルギー性鼻炎の診断は問診、鼻の中の診察、鼻汁や血液の検査、レントゲンやCTの画像検査、を組み合わせて行います。
治療は①抗ヒスタミン薬②抗ロイコトリエン薬③鼻噴霧用ステロイドを、病型や重症度に応じて処方します。その他、④アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)⑤手術⑥生物学的製剤などがあります。
鼻中隔(左右の鼻を分ける仕切り)はどなたでも多少は曲がっていますが、曲がりが強く、鼻づまりの原因となった思われる場合で、かつ、御本人が困っておられる場合は病気として扱います。人によって同程度に曲がっていても、つまりを感じる人と感じない人がおられますので、困っていない場合は病気ではありません。鼻中隔の軟骨や骨が発達するとともに曲がりが強くなります。また、打撲で鼻中隔が骨折して曲がる場合もあります。必要な場合は、手術で仕切りをまっすぐに矯正します。
感染、物理的な刺激や薬物による刺激で、慢性の炎症が鼻の中で続くと徐々に粘膜が腫れたままになって鼻が詰まっていきます。特に腫れが戻らなくなった場合(肥厚性鼻炎)は、手術で粘膜のボリュームを減らして鼻が通るようにします。
通常は、かぜ症候群の部分現象としてライノウイルスなどにより、起こります。鼻のむずむずした感じから始まって、くしゃみや水様鼻汁が出現します。その後、細菌の二次感染がおこったりすると黄色い鼻水に変化し副鼻腔炎や咽頭炎などへ進展してしまうこともあります。においがしなくなることもあります。軽い症状であれば、鎮痛薬や抗ヒスタミン薬などで対症的に治療します。黄色い鼻水が出てくるようであればネブライザや点鼻薬、抗菌薬などを追加していきます。症状は1週間程度で治ることもありますが、2~4週間と長引くことも珍しくありません。
副鼻腔炎は昔から「ちくのう」と呼ばれている病気です。黄色い鼻汁、額やほほの疼痛、鼻詰まり、嗅覚障害、などの症状がでます。副鼻腔炎は前述のように、感染を契機に発症し、2週間程度の治療で軽快する急性副鼻腔炎と、さまざまな原因で長期間(12週以上)に渡って症状が続く、慢性副鼻腔炎があります。基本的には命に関わる病気ではないですが、においがしなかったり、鼻が詰まったり、痛みがしたりすることで、仕事や勉強、睡眠の効率が低下するなど、患者様の生活の質を落とすことになります。また、細菌やカビ(真菌)による非常に強い感染が起こった場合は、目や脳に感染がおよび、重篤な経過をたどることもあります。慢性副鼻腔炎には、もともと鼻が狭かったり、鼻水の水はけが悪かったりする体質的な原因のほか、ポリープ、カビ、上顎の歯根感染、など色々な原因があります。鼻の中の診察や、レントゲンやCTによる画像検査、細菌検査などで診断し、抗生剤や鼻水をさらさらにする薬などで治療します。コントロール困難な慢性副鼻腔炎の場合は手術が必要なこともあります。
鼻腔ポリープ・鼻茸(はなたけ)は、慢性の炎症が原因で鼻の内側の粘膜が徐々にふくらみ、鼻腔内に垂れさがったものです。鼻の中でキノコのように場合によっては複数出現します。大きなものでは鼻の孔から出てきたり、鼻の奥からのどに垂れてきたりします。小さいうちは症状がないのですが、大きくなると鼻つまりや嗅覚障害がおこります。鼻腔ポリープは粘膜が過剰に腫れているもので腫瘍ではありません。しかし、同様の見た目でも腫瘍(細胞が増殖してできるできもの)の場合もあるため、必要なときは一部切り取って検査をする必要があります(病理組織診)。鼻鏡やファイバースコープなどを用いた鼻の中の診察、レントゲンやCTによる画像検査、前述の組織診などで診断します。鼻腔ポリープで特に症状がない場合は、薬で鼻炎の治療を行うか、何もせずに経過観察します。鼻つまりなどの症状がある場合や腫瘍の場合は手術が必要な場合もあります。喘息に合併した鼻腔ポリープの場合は、好酸球性副鼻腔炎という特殊な副鼻腔炎のこともあります。
ご高齢の方で、ほかの鼻症状や感冒様の症状がないのに、水っぱなが多く出て困っておられる方がいらっしゃいます。このような症状は古くから知られていて、欧米ではOld Man’s Dripと呼ばれています。加齢による鼻粘膜の萎縮や、加温機能や線毛機能(鼻の水はけの機能)などの低下が原因といわれており、病気ではありません。個人差はありますが60歳を超えたくらいから、鼻の粘膜は徐々に萎縮し始めます。すると、鼻に結露しやすくなったり、溜まった水分の水はけが悪くなったりして、鼻の外に水っぱなとして出てきやすくなると言われています。病気ではないとはいえ、お困りの方は多くいらっしゃいます。完全によくすることは難しいですが、漢方や鼻の加温などで症状が和らぐことはありますので、相談しながら試していきましょう。
子供さんがおはじきや、小石、豆、ティッシュ、花の種、など、色々、鼻に詰めて来られます。詰めたことを教えてくれることもありますが、そうでない場合は、気づかれるまで1ヶ月くらい経つこともあります。片方の鼻からだけ黄色い鼻水がずっと出たり、鼻が臭ったりするときは鼻腔異物の可能性があります。なんとか取れることが多いですが、痛みが我慢できない場合は、全身麻酔で取らなければならなくなることもあります。
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