のどの病気
のどの病気
感染性咽喉頭炎は、細菌やウイルス、真菌(カビ)などの病原体によって引き起こされる、のどの炎症のことを指します。喉の痛み、発熱、咳、喉の赤みや腫れ、喉の痛みを伴う飲み込みの困難、扁桃腺の腫れと白い斑点、など、が主な症状です。
主な病原菌は、ウイルス性のものであれば、風邪症候群を引き起こす、ライノウイルス、コロナウイルスなどのウイルスや、伝染性単核球症という扁桃腺の腫れが特徴的な咽頭炎を起こすEBウイルス、また、単純疱疹や帯状疱疹ウイルスなどが挙げられます。細菌性であればA群溶血性連鎖球菌(溶連菌)、マイコプラズマ、などが挙げられます。その他、真菌(カビ)であれば、カンジダ菌なども上がります。発症の仕方や経過と、咽頭の腫れ方や、アフタ(白い斑点)の出現の仕方で、ある程度、細菌性かウイルス性かは検討がつきますが、混合感染のケースや、結核、自己免疫疾患、性感染症などの特殊なケースもあり、一度で診断がつかないこともあります。その他、喉のスワブ検査(咽頭培養や迅速抗原検査)、血液検査などを行うこともあります。治療方法は病原体の種類によって異なります。ウイルス性の場合は、特効薬がないので、鎮痛薬や抗ヒスタミン薬などで、きつさをある程度抑えて、しっかり食事と休養をとってもらって、自分の免疫で治るのをサポートしていきます。そのため、ウイルス性の場合は症状が少し長引く(2~4週間程度)こともあります。細菌性の場合は、効果のある抗菌薬を使用すると比較的早めに(1~2週間程度)治ることが多いです。いずれにしても、定期的な手洗いやうがい、など、日常で感染に注意して予防していただくのが大切です。
細菌性咽頭炎がひどくなると、どちらか片方の(ひどいときは両方の)扁桃の周りが赤く腫れて強い痛みが引き起こされることがあります。この状態を扁桃周囲炎といいますが、これが更に悪くなると、扁桃の周囲に膿が溜まる、扁桃周囲膿瘍という状態になります。そうなると、高熱、痛みが強すぎて唾液を飲み込めなくなる、口を大きく開けられなくなる(開口障害)、こもった声になる、頭痛や耳への放散痛、などが出現します。膿がたくさん溜まると、抗生剤が効かなくなるので、扁桃周囲膿瘍になった場合は、膿溜まりを切開、排膿したうえで、抗生剤や点滴で治療する必要があります。入院するほどの扁桃周囲膿瘍にまでになる方は、小児やご高齢の方は少なく、20~30代の方が半数以上で、特に男性が多いです。お仕事で受診が遅れることが多いためかもしれませんが、その他にも、理由として女性ホルモンの作用や、扁桃の形態的な変化、などが考えられています。いずれも、迅速な診断と適切な治療が重要ですので、咽喉頭の疼痛が続くときは早めの受診をおすすめします。
急性喉頭蓋炎は、喉頭蓋(のどぼとけの上に位置し、食べ物や液体が気管に入らないようにする弁のような役割を果たす部分)の急性炎症です。迅速に治療しないと気道閉塞を引き起こし、窒息してしまうこともあります。急激に悪くなる喉の痛み、痛みによる飲み込みにくさ、発熱、くぐもり声や声のかすれ、流涎(よだれ)、などが主な症状で、咽頭炎と区別がつきにくいですが、これらに加えて、息苦しさと、特に息を吸うときの喘鳴(ゼイゼイする音)が特徴です。また、この様な症状があるにもかかわらず、口から見える範囲の喉は腫れたりしておらず、比較的正常なこともあります。原因としては、インフルエンザ菌のb型(Hib)で起こるものが、重篤になりやすく有名です。その他の細菌(連鎖球菌、肺炎球菌など)やウイルス感染も原因となります。その他に、喉の打撲や、熱い飲み物などでやけどした場合にも起こることがあります。まれに、のどに限局したアレルギー反応で起こることもあります。急性喉頭蓋炎を疑う場合は、視診、触診、および、レントゲンや内視鏡で診断をつけます。治療は、抗生剤で原因菌に対応するとともに、ステロイドなどで喉頭蓋の腫れを抑える治療を行いますが、急激に増悪する場合は、気道確保のために気管挿管や気管切開が必要になることもあります。Hibワクチンはインフルエンザ菌b型(Hib)による喉頭蓋炎を予防します。
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